戦後における日本の目覚ましい復興により、人々の生活には豊かさがもたらされました。アメリカやヨーロッパなどの世界各国から新しい技術や物を取り入れ、国内でも高品質の物が開発されてきました。
これまでの発展により生活の利便性は向上していますが、安らぎやくつろぎを求める時にハイテクな物に囲まれるだけの生活では、心身共に深い癒しを得ることが難しいのも事実です。
住宅の外観や室内空間の洋風化が定着した現代だからこそ、和室に求められる意味がより重要なものになってきています。日本人にとって生活には不可欠な存在であった和室やお茶、お花などの古くから大切にされてきた和の文化は、豊かになった今だからこそ、その魅力が再発見されています。
和室の魅力として、様々な用途で利用できる点が挙げられます。
畳のある和室は、仏具や伝統工芸品を飾る空間としてはもちろん、子育て空間としても有効活用できます。柔らかい畳は、転倒時の衝撃も和らげてくれるため、乳幼児の寝室・遊び場として最適です。
畳や木材、和紙などの自然素材が多用された和室は、人々に安らぎを与えることから家族の憩いの場、少し横になれる場所などくつろぎ空間としても大活躍します。また、座布団を出すことで、客間に早変わりするのも嬉しいポイントです。
和室だからと言ってこうしなければならないという決まりはありません。典型的な和室空間が砂壁・板張りの天井だからと言って、必ずしもその通りにする必要はないのです。
最近では、リビングやダイニングの一角に和室を設けるケースも増えています。「洋風な住宅だと和室が浮いて見えるのでは?」と思う方もいらっしゃるかもしれませんが、壁や天井に統一感を持たせることでリビングやダイニングと和室が調和した空間になります。また、洋風とも相性が良い畳もあるので、既成概念にとらわれず和室を楽しめます。
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